なぜ、手放したくなるような、要らない土地が出てきてしまうのか
私ども日栄不動産(千葉県茂原市)は、さまざまな不動産事業を手がけておりますが、その中で、数多くの「要らない土地」の処分、寄付、廃棄、譲渡などに携わってきました。
自分の土地を所有したことのない方から見れば、ひょっとしたら、「せっかく資産である土地・不動産を持っているというのに、なんで、手放したくなるような困ることになるんだろう?」という疑問が、おありかもしれませんね。
それはもちろん、とくに付加価値を生み出すことのない空き地・空き家を単に持っているというだけで、各種税金が徴収されてしまうということと、草刈や建物の維持メンテナンス費用などのランニングコストがかかってしまうという点にあるわけですが、このようなことになる経緯に、今回は焦点を当ててみたく存じます。
まず、そもそも市街地や都市部に土地を持っていた場合、それがまったく資産価値が無いということは稀です。
要らない土地・建物として扱われるものの殆どは、田舎や郊外にある不動産であり、私どもが事業を手がける千葉県内においても、例外ではありません。
では、なぜ、田舎や郊外に、要らない土地を持っている状態の人がいるのでしょうか。
その理由としては、遺産などの相続によって、半ば自動的に土地・建物を取得しているケースが、かなりの部分を占めています。
いきなり親族が他界し、田舎・郊外の土地を相続することになってしまったとき、そのまま所有し続けるべきなのか、それとも売るべきか、有効な活用方法はあるのか、など、頭を悩ませるものだと存じます。
一方、受動的な相続とは違って、自ら能動的に土地を購入したというケースがあります。
たとえば、老後に田舎に住みたい、第二の人生を静かなところで暮らしたいという願いがあれば、前もって土地だけを他の都道府県など遠方の郊外にて購入しておき、退職金が出たらそこに平屋の家を建てよう、などという夢を描く方も多いですね。
でも、実際にはものすごい維持コスト、各種の出費があることに気づき、定年後の田舎暮らしを断念するというパターンが非常に多いのです。
そんなふうに、定年後の新天地として購入した土地が、まったくの要らない不動産に化けてしまう場合が、千葉県、とくに海沿いの風光明媚なところで続出しています。
また、自分で土地を買ったという場合にて、田舎暮らし目的とは別の状況としては、不動産投資という「財テク」を考えた結果だというものも存在します。
一般的には、不動産投資は数ある資産運用の中では、手堅くて安全なものとして定評があります。
他の資産運用方法には、株式の短期売買や、為替相場のレートで浮沈をするFX、先物投機などが存在しますが、これらは短期的なイベントなどで大きな利益を得ることのできる可能性がある一方、致命的な損失を計上する場合もあり、ハイリスクハイリターンな面を無視することは出来ません。
その点、賃貸経営をはじめとした不動産の活用は、緩やかながらも確実に黒字を生み出すことの出来る資産運用法として意義があり、不動産投資に関連するさまざまなセミナーや勉強会などが、定年を控えた中高年たちに人気があったりします。
そのように、中古アパートの賃貸経営などは、建物の致命的な欠陥があったとか、予期せぬ自然災害などが起きたりしなければ、ほとんどの場合では保険に加入しているということもあり、低リスクな資産運用といえます。
一方、明らかに数年後に路線価が上昇しそうな土地・不動産を先行投資で取得してしまう、不動産の転売を考えた類の資産運用であると、まったく話が変わってきます。
われわれの地元である千葉でも、「数年後にリゾート地開発があるので、先に土地を購入しておけば大儲けできますよ!」などという、不動産業者さんの甘い言葉で、沿岸部などの田舎の土地を買ってしまう人がいます。
結局はそのリゾート地開発ばなし自体が無かったり、立ち消えてしまったりなどで、土地の使い道がまったく消滅してしまったとき、不要土地のオーナーさんは泣き寝入りをせざるを得ません。
自分の住んでいるところとは無関係の土地を持っているだけで、固定資産税はかかるし、土地の除草などのメンテナンス費用が膨大になったりで、処分・廃棄や寄付などを考える方が、ここ千葉でも増えているのです。
ちなみに、不要な空き地、空き家などの維持費用、メンテナンス経費には、草刈・除草という項目が大きな存在となっていますが、誰も行かないような土地の草を廃棄・処分するということには、大きな意味があります。
ひとことで言うと、防犯と防火という、危機管理面での観点から、除草・草刈が重要だということです。
まず、敷地に草が生えていた場合、ごみを捨てられやすくなります。
不法投棄の被害は、茨城ほどではありませんが、千葉でもけっこうあります。
さらには、要らない土地の草を生やし放題にした場合、放火の恐れがあるのです。
こうした理由から、不要な土地や空き家は、手入れが必要となります。